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歯周病で抜歯が必要になるタイミングは?回避方法と抜歯後の選択肢についても解説2024.05.21

「歯周病になると歯を抜くことがある」と聞いたことはありませんか?
大切な歯を1本も失いたくないのに、歯周病になってしまって困っている方は少なくありません。歯周病は、進行すると歯を失う可能性が高い疾患です。後悔しないためにも早めの治療や予防を心がけましょう。
こちらのページでは、歯周病で抜歯が必要になるケースや抜歯をしなくて済むケース、抜歯後の選択肢について分かりやすくまとめました。歯周病と診断された方や疑いがある方はぜひご参考にしてください。

悪化した歯周病が抜歯の原因となるケース

 

歯周病検査では、歯と歯ぐきの境目にある歯肉溝にプローブという深さを測る器具を入れて、歯槽骨がどの程度残っているのかを調べます。1〜3mmであれば歯周病の心配はありません。4mm以上になると歯周治療が必要で、6〜8mm以上になると歯のグラつきが目立つようになり、歯周治療で改善がみられなければ抜歯の可能性がでてきます。状態や症状としては以下のとおりです。

周囲の歯槽骨がほとんどない場合

歯根の周辺には歯槽骨が存在しますが、歯が真っすぐ生えているのは、歯槽骨の支えがあるからです。歯周病菌によって歯槽骨が多く溶かされると、支えがなくなり動揺(歯のグラつき)が現れます。
重度の歯周病になると菌の活動を止めることが難しくなるため、原因の歯以外にも影響がでることがあります。原因の歯を抜歯することは、周囲の歯を守るためでもあるのです。

動揺が大きく噛むときに痛みがでる場合

歯の動揺が大きくなると、食事をするときに歯が傾いて歯ぐきが無理矢理広げられるため、痛みを生じます。次第に動揺がある部位を避けて別の部位でばかり噛むようになることで、歯並びが崩れたり、顎関節症を発症するケースもあります。

抜歯しなくて済むケースは?

 

以下のケースであれば、抜歯をすることはほとんどありません。歯周病=抜歯ではありませんのでご安心ください。あてはまる方は歯周病が今以上に悪くならないよう、しっかり管理しましょう。

歯の動揺がないもしくは小さい場合

軽度や中度の歯周病では、歯の動揺は「0」もしくは「1(前後の動き)」で小さいケースがほとんどです。抜歯ではなく歯石除去やSRP(歯根に付着した歯石を除去し、汚れがつきにくくなるよう根面を滑らかにする処置)、歯周外科治療などを行って、改善の有無をみます。

歯周治療で改善がみられる場合

歯石除去やSRP、歯周外科治療などを行って改善がみられた場合は、歯としての機能を保てるため、治療を続けてさらなる改善を目指します。なかには、ご自宅でのお手入れ不足や、全身疾患、服用中の薬の影響などで改善が難しい場合もあります。

歯科医院によって治療法が変わる可能性も

歯周病は目に見えない菌が引き起こすものであり、自覚症状がないうえに状態によっては周囲の歯を巻き込む怖い疾患です。そのため「絶対に抜歯をしない」のが正解とは限りません。しかし、永久歯を失ったらもう二度と歯は生えてこないため、安易に抜歯をするのも不適切だといえます。抜歯のタイミングや治療法は歯科医院によっても異なりますので、心配な方はセカンドオピニオン(別の歯科医院で相談・診断を受けること)を利用してみるのもいいでしょう。納得のいく治療法がきっとみつかるはずです。

抜歯後の歯周病患者さんの選択肢とは

 

抜歯後は歯があった部位にスペースができますが、それを放置すると両側の歯が倒れてきたり、噛み合う歯が伸びてきたりするため、抜歯をした歯の代わりになるものが必要になります。主な治療法は以下のとおりです。

入れ歯

プラスチックでできた人工の歯と歯ぐきを、抜歯した部位の歯ぐきに被せて噛む機能を回復させる方法です。大きく分けて部分用と無歯顎用の2つがあり、さらに保険と自費から選べます。取り外しが可能で、ものによって使用感や耐久性、審美性が大きく変わるのが入れ歯の特徴です。ブリッジやインプラントとくらべると安価なため、選択しやすい治療法といえるでしょう。

ブリッジ

抜歯した部位の両端の歯を土台にして、連結した被せ物を行う方法です。固定式で入れ歯よりも違和感が少なく、自費はもちろん保険でも製作できます。
土台となる歯はたとえ健康な状態でも削る必要があり、場合によっては歯の神経を抜かなくてはいけません。

インプラント

抜歯した部位に人工歯根を埋め込んで人工の歯を装着する方法です。見た目や使用感が天然歯とほとんど変わらないのが魅力ですが、保険適用ではありません。また、1~2回の手術が必要で、顎骨に十分な厚みがあることが治療を行う条件です。重度の歯周病で歯槽骨を多く失った場合は、増やすための処置(骨造成)を別で行う必要があります。

まとめ

 

重度の歯周病になると、抜歯せざるを得ない状況になることがあります。歯を残すためには、早めの治療や予防が欠かせません。しかし、虫歯と違って進行しても目立った自覚症状がないことが歯周病の怖いところです。発症や進行を見逃さないためにも、定期検診は忘れずに受けるようにしましょう。

東 寿子

監修者|銀座4丁目東デンタルオフィス 院長
臨床歯周病学会認定医 2007年 3月4日 登録番号194号

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